フォトレタッチャーに必要なシズル感

シズル感という言葉、皆さんご存知でしょうか?

シズル感というのは『商品の魅力を表現し伝え欲求に働きかける』効果を言います。
フードに例えるならより美味しそうに見せて食べたいと欲求を高める事がシズル感の第一歩。

グラフィックデザインやウェブデザインをする上で欠かす事が出来ないのが写真です。
写真の中でシズル感を出すにはまず5感のうち『視覚』に働きかける必要があります。動画が使えれば音を出せるので『聴覚』にも働きかける事が出来ます。

しかし、実際の料理を目の前にすれば『嗅覚』、触れることが出来れば『触覚』、食べる事が出来れば『味覚』にも働きかける事が出来るのですがこれらはデジタルの技術ではなかなか伝えられない3感。広告の中で伝えられるシズル感はデジタルの技術でも伝えられる2感に大きく頼っているところがあります。

少し自己紹介を。レタッチャーを意識したキッカケ

私はフォトレタッチという写真をより美しく補正したり、合成したりする技術を多くのデザイナーさんに認められ、独立をするキッカケになりました。

自己紹介も兼ねて少しお話させていただきますと、キッカケの始まりは2003年にアジア初開催となった『世界グラフィックデザイン会議 – VISUALOGUE – 』

私は4日間開催されるイベントの編集部に配属。編集部ではイベントの内容をニュースレターにし、翌朝に配布(最終日は4日目最後に開催されるクロージングパーティーで配布)するという役目を担っておりました。

この役目を無事に遂行するために集められたのがメインビジュアルを手がけた大阪のグラフィックデザイナー 三木健さん、東京のアートディレクター 秋田寛さんとアキタ・デザイン・カンのスタッフの皆さん。さらには名古屋を代表するベテランのカメラマン、コピーライター、グラフィックデザイナーの方々。

この時に26歳の私は編集部で使用するパソコンのメンテナンス・サポートという役割で配属。しかし初日から急遽フォトレタッチャーとして凄い方たちの中で仕事をさせていただける事が出来ました。

無事にこの編集部でのフォトレタッチャーデビューが終わった後に別件である英会話スクールのイメージキャラクターになっているタレントさんのレタッチを担当。

写真編集ソフト『Adobe Photoshop』をより深く扱えるようになるフォトレタッチャーの今後の需要を推測しグラフィックデザイナーとの2足のわらじで独立を決意しました。

アプリの進化 vs レタッチャーの技術

独立してからモデルさんやタレントさんの魅力を引き立てるファインレタッチ、住宅写真や風景をよりリアルに合成し1枚の写真を作成するアートレタッチ、特にフードレタッチに関しては私のレタッチャーとしての代表作にもなっているPascoさんの看板商品『超熟山型食パン』『超熟イングリッシュマフィン』をはじめ数々のパッケージフォトを担当させていただく事が出来ました。

そんな中、ある転機がありました。

2010年頃、iPadの登場です。

スマートフォンやタブレットの登場で簡単にアプリを使って色相・彩度・明度を変えたりフィルタをかけられるようになり『Adobe Photoshop』でやっていた技術がとても簡単に出来るようになりました。

あるカメラマンには「これでレタッチャーいらないね」とまで言われ悔しい思いをした事もありました。

レタッチャーは演出家。写真の世界にダイブ

レタッチャーとしてはアプリ任せで出来る技術と何が違うかを明確にしなければと深く考えるキッカケになり、そこで考え抜いて出した答えが静止画の写真では表現出来ないと言われている聴覚、触覚、嗅覚、味覚の想像から生まれる『疑似体験』でした。

こちらの写真は今月、私がライターをしている名古屋情報通にて発信した記事に使用したBAKE プレスバターサンドの写真です。画像の真ん中のマーカーを左右に動かすとレタッチ前(Before)とレタッチ後(After)が比較出来ます。

名古屋情報通にて発信した記事はこちら。

名古屋駅で行列を生んだ『プレスバターサンド』が次は栄で期間限定出店!

明るさや色相をただ見た目良く補正するだけでなく、クッキー生地の表面のサクサク感としっとり感、バタークリームのふんわり感、キャラメルクリームの艷やかで今にもとろけそうな光沢感を視覚的に与え、口に入れたら「サクッ」と音がして、舌の上で「絡み合って」、クッキー生地の香ばしさやクリームのバターやキャラメルの「香りが広がって」、サクサクしっとりのクッキーとダブルのクリームが「混ざり合って深い味わい!」という『疑似体験』のストーリーを与え「食べてみたい!」という欲求をそそられるようにしました。さらにプレスバターサンドを指で持ち食べる人の目線にする事で口に入れるまでのストーリーもより演出しています。
モデルさん、建物、風景、食べ物などなどどんな写真であってもこの『疑似体験』を大切にし、見る人にどこを伝えたいのかを意識しながら写真の世界にダイブするようにレタッチする。この演出のストーリー立てと表現する技術がフォトレタッチャーの必要なスキルだと感じました。

この深くダイブするのは言葉でも同じ。
こちらのビジネスのためのWeb活用術。さんの記事でよりわかりやすく言葉のダイブについて解説がされています。

シズル感の正しい意味とは?五感を使った広告演出とキャッチコピーの使い方
https://swingroot.com/sizzle/

様々な表現と感覚を持ち合わせる人間だからこそヴァーチャルの体験に大きく心揺れ動く事が出来ます。フォトレタッチやコピーライティングの世界に興味のある皆さん、被写体の世界にダイブする気持ちを持って技術を磨いていきましょう。

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